アルトの【修理代】 エンジン音が大!クーラーも効かないよ~
車種:スズキ / アルト
型式:CBA-HA24S
年式:平成18年式
走行距離:85,000キロ

症状:
エンジン始動中(キー)と大きい音がする、
クーラーが効かない。
掛かった修理代は・・・
18,900円!
故障(症状)の原因:
経年劣化によるファンベルトの劣化、
経年劣化によるクーラーベルトの劣化、
ファンベルト、クーラーベルト取り付け部プーリーのサビ。
整備内容:
ファンベルト交換、
クーラーベルト交換、
ファンベルト、クーラーベルト、取り付け部プーリーのサビ落とし。
作業内容について:
症状改善の為、ファンベルト、クーラーベルト、交換。
ファンベルト、クーラーベルト、取り付け部プーリーにサビがあった為、各プーリーの交換をお勧めしましたが、、、
乗り続ける車ではなく知人に譲る予定の車なので、整備費用は抑えたい、プーリーのサビに関してはプーリーのサビ落としのみで様子を見られるとの事。
クーラーが効かない件に関してはクーラースイッチONでクーラーコンプレッサーの動きが確認出来ない為、詳しい点検(点検料が発生する)をお勧めしましたが、、、
知人に譲る予定の車なので整備費用は抑えたいとの事で現状、
エンジン始動中(キー)と大きい音がする件に関しては恥ずかしいので整備してくださいとの事。
クーラーが効かない件に関しては整備費用は抑えたいとの事で、今回点検は行っていないが、修理の際は詳しい点検(点検料が発生する)が必要である。
交換部品:
- ファンベルト
- クーラーベルト
修理費用(工賃、部品代)の内訳:
- 点検料 / 3,000円
- ファンベルト / 3,000円
- ファンベルト交換工賃 / 4,800円
- クーラーベルト / 2,000円
- クーラーベルト交換工賃 / 1,200円
- ファンベルト、クーラーベルト、取り付け部プーリーのサビ落とし / 3,000円
- ショートパーツ / 500円
修理代合計:18,900円(税込)
【追記】この修理で見送った2つの作業は、その後いくらになるのか
上の18,900円は、整備士が勧めた作業のうち2つを見送ったうえでの金額である。
- プーリーの交換 → サビ落とし3,000円だけにして様子見
- エアコンの点検 → 点検料が発生するため行わず(0円)
どちらも「知人に譲る予定の車なので費用を抑えたい」という理由によるもので、判断としては筋が通っている。ただ、同じ症状で検索してこの記事にたどり着いた人が本当に知りたいのは、たぶんその先だと思う。やっていたら、いくらだったのか。
この2つを実際にやった車の整備明細書を入手したので、それぞれ金額で答えを出しておく。
なお、上の内訳を全部足すと17,500円で、合計の18,900円と1,400円合わない。これは内訳が税抜・合計が税込だからで、当時(2016年)の消費税8%を掛けると 17,500 × 1.08 = 18,900円 とぴったり一致する。この記事の数字はそのまま信用してよい。
見送った①:プーリーをサビ落としではなく交換すると
車種:ホンダ / HR-V(型式 GH2・2000年式・走行369,320km)
入庫:カー用品店 / 2024年8月

実際の整備明細書より(個人情報・整備工場名の記載部分は除いています)。画像をタップすると拡大できます
| 作業・部品 | 品番 | 単価(円) | 数量 | 金額(円) |
| Vベルト全数取替(工賃) | — | 6,160 | 1 | 6,160 |
| ファン・ベルト | 4PK800 | 2,013 | 1 | 2,013 |
| パワーステアリング・ベルト | 4PK845 | 2,266 | 1 | 2,266 |
| クーラー・ベルト | 4PK845 | 2,266 | 1 | 2,266 |
| クランク・プーリ取替(工賃・参考指数1.2) | — | 9,600 | 1 | 9,600 |
| クランク・プーリ | 13810P2KJ01 | 19,910 | 1 | 19,910 |
整備費用合計:42,215円
ベルトを全数替えるところまでは、上のアルトとほとんど同じ作業である。違うのはプーリーを1つ、サビ落としではなく交換していること。その1個ぶんだけを抜き出すと、
部品 19,910円 + 取替工賃 9,600円 = 29,510円
アルトの「サビ落とし3,000円」に対して、およそ10倍になる。プーリーは消耗品ではないので普段は値段を意識しない部品だが、いざ交換となるとベルト3本ぶん(6,545円)より、プーリー1個の方が3倍高い。
ちなみにこの伝票には消費税の行がない。各行の表示額を足すとそのまま請求額42,215円になる様式で、上のアルト(内訳が税抜・合計が税込)とは書き方が違う。明細書の様式は工場ごとに違うので、複数の見積りを比べるときはまず税がどこに入っているかを確かめる必要がある。
⚠️ HR-Vが交換したのはクランク側のプーリー(ベルトを回している側)で、上のアルトでサビが見つかった補機側のプーリーとは位置が違う。またこの明細書には交換の理由が書かれていないため、サビが原因だったとは限らない。ここで比べているのは「プーリーを1つ交換すると、どのくらいの金額になるのか」という桁であって、同じ故障の話ではない。
「サビ落としだけで様子を見る」は、現場でも普通に行われている
整備工場が公開している事例を読むと、プーリーのサビについては共通した説明が出てくる。
- 「サビが研磨剤の役目をしてベルトを削る → ベルトが緩む → ベルト鳴きのループに入る」(スズキ MRワゴン MF22Sの事例。オルタネーター・クランク・ウォーターポンプ・エアコンコンプレッサーの4つとも交換している)
- サビが深いとヤスリのような状態になり、ベルトを新品にしてもすぐ鳴きが再発する(マツダ ロードスター NB8Cの事例。削れの大きいオルタネーターとクランク側の2つを交換し、残りは清掃で対応)
- 軽トラックの事例では、オルタネーターとウォーターポンプのプーリーは交換したが、クランクプーリーは予算の都合でワイヤーブラシによる清掃と防錆油のみにしている
3件目は、上のアルトとまったく同じ判断である。全部替えるか、清掃で様子を見るかは、実際の現場でも予算とサビの深さで分かれている。
裏を返すと、サビ落としで足りるかどうかはサビの深さ次第であって、明細書の金額からは分からない。ベルトを新品にしたのにしばらくして同じ音が戻ってくるようなら、削る側であるプーリーが残っている可能性を疑うことになる。
「プーリーのサビ」を、3台の実例で並べてみる
| 段階 | 車 | 何をしたか | 金額 |
| 予兆 | ダイハツ ムーヴ LA110S (平成25年式・走行113,000km) |
明細書の整備士メモに「オルタネーターのプーリーに錆が有ります」。このときは対応せず | 0円 |
| 軽処置 | このアルト HA24S (平成18年式・走行85,000km) |
ベルト2本を交換し、プーリーはサビ落としのみ | 3,000円 |
| 交換 | ホンダ HR-V GH2 (2000年式・走行369,320km) |
ベルトを全数交換し、クランク・プーリを交換 | 29,510円 |
メーカーも年式も走行距離もばらばらの3台だが、同じ部位について「気づいた」「様子を見た」「替えた」がそのまま金額の段階になっている。点検でプーリーのサビを指摘されたときに、どのくらいを覚悟しておく話なのかの目安になる。
なお1台目のムーヴの明細書は、タントのドライブシャフトブーツの記事で内訳まで載せている。
見送った②:エアコンを実際に直すと
上のアルトは、「クーラースイッチONでコンプレッサーの動きが確認できない」ところまでで止まっている。点検料をかけず、原因を特定しないまま現状にした、ということである。
その先まで進んだ明細書がこちら。同じスズキの軽自動車で、エンジンも同じK6A型の車である。
車種:スズキ / アルトラパン(型式 DBA-HE22S・平成22年3月式・走行69,095km)
入庫:スズキのディーラー / 2021年12月
伝票の記載:エアコンコンプレッサ作動不良
| 部品・作業 | 品番 | 数量 | 部品代(円) | 技術料(円) |
| コンプレッサアッシ | 95200-58J43 | 1.0 | 50,000 | |
| Oリング サクションホース | 95896-50G00 | 1.0 | 80 | |
| Oリング デリバリホース | 95895-50G00 | 1.0 | 80 | |
| エアコンガス | 99290-82M30 | 2.0 | 2,000 | |
| 工賃 | — | 15,000 |
部品代 52,160円 + 技術料 15,000円 + 消費税 6,716円 =
73,876円(税込)
⚠️ この伝票の「ご請求金額」欄には21,716円と印字されている。前受金として52,160円が引かれた残額なので、整備そのものにかかった金額は73,876円である。
この明細書から読み取れることを3つ挙げておく。
金額の作りが、上のアルトのベルト交換とちょうど逆になっている。アルトはベルト部品5,000円に対して交換工賃6,000円で、工賃の方が高い。ラパンは部品52,160円に対して工賃15,000円で、部品が3倍以上高い。コンプレッサーはベルトで回している補機なのでエンジンの前側にあり、比較的手が届きやすい。部品が高くても、工賃までは膨らまないという形になっている。
Oリングが2個で160円、明細に載っている。コンプレッサーを外すと冷媒の通り道が開くので必ず替える部品で、寸法(H-NBR13.4×2.4/10.8×2.4)まで印字されている。エアコンガスは数量2で2,000円。「エアコン修理一式でいくら」という見積りでは絶対に見えない粒度である。
走行69,095kmで壊れている。11年9ヶ月で年間およそ5,900kmという計算になる。ただし伝票が書いているのは「エアコンコンプレッサ作動不良」までで、なぜそうなったのかは書かれていない。距離のせいなのか年数のせいなのかは、この1枚からは決められない。分かるのは、距離を走り込んだ個体ではなかったということである。上のアルトも平成18年式・85,000kmなので、距離の面ではむしろ穏やかな方に入る。
⚠️ 上のアルトも73,876円かかる、という話ではない。アルトは点検をしていないので、そもそも原因が分かっていない。コンプレッサーが回らない原因は、冷媒ガスの不足、マグネットクラッチの不良、リレーやヒューズ、圧力スイッチなど複数あり、どれに当たるかで金額は数千円から10万円近くまで動く。点検料がかかるのは、この切り分けをするためである。ここに載せたのは、あくまで「コンプレッサー本体の交換まで進んだ場合の、実際の1件」にすぎない。
18,900円の先にあった金額
見送った2つを両方やっていたとすると、29,510円 + 73,876円 = 103,386円。実際に払った18,900円の5倍以上である。
平成18年式の軽自動車に10万円。この記事の車は「知人に譲る予定」という前提があるので、18,900円で止めた判断はむしろ理にかなっている。ただ、自分で乗り続けるつもりの車で同じ場面に立つと、話は変わってくる。どこまで直すかを決める前に、その車が今いくらの価値を持っているのかを知っておく方が、迷いは少なくて済む。
この修理代を払って乗り続けるか、乗り換えるか。
今の愛車に、いくらの値が付くのか確認してから、検討するのも良いと思います。
先に修理をしてしまうとその修理代は戻ってきませんので検討は慎重に行いましょう。買い取り業者の多くは、自前や提携の工場で修理します。そのためあなたが払った修理代が買取額にそのまま乗るような評価はしてくれません。。直した直後に手放すことになれば、その差額分を損することになってしまいます。
愛車が売れる値段を知ってから決めても、遅くはありません。
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参考にした情報源
- 始動時異音 ベルト鳴き プーリーの錆でベルトが摩耗 マツダロードスター|グーネットピット
- スズキ ベルト鳴き キュルキュル ベルト プーリー 錆 鳴き オルタネーター クランクプーリー ウオーターポンプ エアコンコンプレッサー 交換|グーネットピット
- 軽トラック ベルト鳴き プーリー腐食でベルト削れ|グーネットピット
※追記部分の金額は、買い取った実際の整備明細書(ホンダ HR-V GH2/スズキ アルトラパン HE22S)にもとづく、それぞれ1件の事例です。同じ作業でも車種・整備工場・時期によって金額は変わります。
